江戸の道場をつぎつぎと破り、剣名もあがった千葉周作は諸国回行に出ることを決意した。まず目指すは当時、最大の剣門「馬庭念流」の本拠地、上州。かって馬庭念流の剣客に敗れたことへの雪辱と、兵法の国・上州で名を売れば天下の剣は滔々として「北辰一刀流」になびくであろうと考えてのことだった。