笹井宏之第三歌集 佐賀新聞読者文芸欄2004年10月~2009年2月掲載の全歌と新たに発見された歌を含む395首を収蔵
「佐賀新聞」に託した愛する世界 この世と、この世ならざる者との間で生じる思索を、言葉の音楽に変えていった青年の本心が、どの歌にもじっくりと座っている。 東 直子(解説より)
監修者選短歌五首 葉桜を愛でゆく母がほんのりと少女を生きるひとときがある 八月のフルート奏者きらきらと独り真昼の野を歩みをり 雨といふごくやはらかき弾丸がわが心象を貫きにけり ひろゆき、と平仮名めきて呼ぶときの祖母の瞳のいつくしき黒 木の間より漏れくる光 祖父はさう、このやうに笑ふひとであつた