「私はこの短篇集1冊のために、10箇年を棒に振った。まる10箇年、市民と同じさわやかな朝めしを食わなかった。…私はこの本1冊を創るためにのみ生れた」(「もの思う葺」)。第1創作集『晩年』(昭和11年刊)と、それにつづく"苦悩の時期"に書かれた諸篇を収める。