三蔵法師玄奘の西天取経の遙かな旅は、こんにち「西遊記」という物語を通して、われわれに親しまれている。史実のなかの苦難に満ちた旅の足跡を、文献と写真資料によって克明にたどるとともに、時代を超えたイメージの総体としての玄奘像を探り、フィクション成立の背景をも解明する。