最近になって、若者と働くことをめぐる議論が急激に広がっている。「いまどきの若者は」というのは、昔から繰り返されてきた大人の心配だが、今の議論はすこし違う。企業社会の問題が、若者の厳しい現状を生んでいるという視点である。本書の議論でも、社会の側の変化をしっかり見ていきたいが、学校と社会をつなぐ接点が特に問題だと思っている。また、そこを解きほぐすために、著者の所属している日本労働研究機構では独自の実態調査をいくつも行なってきた。ここからせまることのできるリアリティが本書の武器である。