子どもの願いを無視して、大人が一方的に発達課題を強制すると歪みが生じやすい。日々、保育の実践にたずさわる著者は、一見、理解しがたい幼児の遊びや描画を、子どもの世界の表現とみることによって、その心を理解する。本書は、子どもと共生しつつ子どもの世界が育つのを見守る真摯な保育論。従来の発達心理学がきり捨てた子どもの生きた姿を捉える人間学的児童心理学の新しい試みである。