モンスターペアレントや児童虐待など、親の問題行動が近年増えているのはなぜなのでしょうか。心理学の世界では、子どもの発達に関して膨大な研究がなされてきた反面、「親自身の発達」という視点は十分ではありません。社会学、家族論や社会福祉論を専門とする著者は、子どもをもっても自然に親になることができない時代背景を、少子化や科学技術の発達、母親の孤立といった側面から分析します。さらに、子ども時代の原体験の重要性を説き、「親としての発達は子ども時代から始まっている」という立場から、小中学校での「親になるための準備教育」について、政策面にまで踏み込んで具体的に提言します。