長崎・グラバー邸で名高いトマス・グラバー。その生涯は、薩長の黒幕、死の商人という神話に覆われている。スコットランドをあとに幕末日本を訪れ転換期に活躍した商人の実像や、炭鉱開発を進める企業家の姿などの多面的な相貌を初めて明らかにし、激動の時代を生きぬく一商人の姿と、幕末維新期の日本に果たした役割とを重層的にとらえる。