「私、ずいぶん長く生きてきた…」版画アーティストを目指してニューヨークへやってきたぼくは、モデルのアラナと恋に落ちる。あの満月の夜。彼女の哀しい独り言の本当の意味を知る、あの夜を迎えるとは知らずに…。摩天楼都市での幻想的な男女の悲恋を描いた収録作「銀行の鱗」をはじめ、ネオ・ホラーの女王、竹河聖が虚飾の都市を基底に、静謐に、おぞましく、そしてポップな筆致で描き切る、四編の生と死の物語。