相州と上州、それぞれの関所破りの意外な始末。
上州玉村で道案内が殺され、道案内を殺した定次郎は子分を連れてそのまま姿を消した。同じころ、保土ヶ谷の道案内角太郎を殺した河童の六こと六蔵を追って、八州廻りの桑山十兵衛は河童の六の出身、相州の松田まで足を延ばす道すがら、鐘撞き講で金を集める破れ坊主を懲らしめる。だが、肝心の保土ヶ谷の一件は、わからずじまいとなり江戸へと戻ってきた。
すると、日光例幣使街道の上州玉村宿のそばにある竹田村で、朝早くに川向こうの穂波村から、鉄砲の玉が飛んできたという訴えが。玉村では、侠客の定次郎一味が、玉村の道案内を殺し、大戸の関所を破ったとの知らせが。
玉村の道案内の後任を決める必要もあり、十兵衛はそのまま上州へと向かう。
十兵衛は、鉄砲をきっかけに、定次郎一味の足跡を見つけられると考えるのだが……。
破れかぶれになり、関所破りで、せめて名を上げようとする侠客たち。
そして、姿を消した河童の六はいずこへ流れたのか。
人の欲を見つめて関八州を経巡る十兵衛が、侠客の最後にみせる粋なはからい。そして、二つの殺しは、意外な展開に……。十兵衛は、首尾よく彼らを捕えることができるのか。
ご存じ、人気時代小説・八州廻り桑山十兵衛シリーズ待望の第九巻。