ウサギとカメの競走の話などで有名なイソップ寓話集は、動物を主人公に様々な愚行の典型を示し、厳しい競争世界をしたたかに生き抜く知恵を教えている。倫理(感情の問題)を経済(勘定の問題)に還元する経済倫理学の立場から、2500年前のイソップの教訓を今日的視点で読み解く本書は、人間が甘えを排し、競い合って生きる上での叡智の宝庫であり、混迷の現代におくるまたとない知恵袋である。