「……人も人間関係も問題ではない。むしろ問題が問題となる。つまり,問題に対する人の関係が問題となる」 個人と問題を同一視する近代的権力構造に抗い,クライアントとセラピストが「問題のしみ込んだストーリー」とは別の心躍るストーリーを,協力して語り,共に生き,聴衆と共有できたとき人生は展開する。 「問題の外在化」と「文書実践」が“治療”に持ち込んだ複数のアイデアは,「ストーリーだてる治療」の基本構造を打ち出し,やがて「ナラティヴ・セラピー」と呼ばれるムーブメントに結実する。マイケル・ホワイトとデイヴィッド・エプストンによる「生きられた経験」を語る空間創出の旅,その始まりの書。