「世界最大・最高の英語辞典」と呼ばれ、英文学者のみならず世界中の知識人に愛用されているOED(『オックスフォード英語大辞典』)。その編纂作業の中心人物、ジェームズ・マレー博士は、貧しい家庭に生まれながらも独学で数多くの言語を身につけ、ついにはイギリス言語学界の第一人者となった人物だった。そしてマレー博士には、彼自身、一度も会ったことのない謎の協力者がいた。その男の名はウィリアム・マイナー。元アメリカ陸軍軍医で、何らかの事情のためにクローソンという小さな村から離れられないらしい。1896年の晩秋、この村を訪れたマレー博士は、マイナーのあまりにも意外な正体を知るのだが…。収録語数41万4825語、完成までに70年もの歳月がついやされたOED第1版。その作成に生涯を捧げた二人の天才の知られざる苦闘と悲劇に光をあて、全米で大反響を呼んだ壮絶にして奇想天外な物語。