天皇の代替わりごとに占いで未婚の皇族女性が選ばれ、伊勢神宮に仕える――これが斎王である(斎宮とも)。飛鳥時代から南北朝まで、六百年間、六十人以上の皇女が斎王となった。『伊勢物語』の「狩の使い」のモデルとなった斎王もいれば、後に皇后となり、怨霊となった斎王もいる。彼女たちは都を離れた伊勢で何を祈り、どんな生活を送ったのか。その一人一人の素顔に迫るとともに、古代史を新たな視点で通観する。