江戸では桜が満開になり、油問屋の大店「越前屋」の一人娘で、その美貌から弁天さまと呼ばれるお美代が輿入れする日を迎えていた。ところが相手が水口藩江戸家老で、五十歳の黒尾兵庫であった上、花嫁を乗せた駕篭が何者かの手によって奪われてしまったことで大騒ぎに…。その駕篭を助けたのが、火消し「に組」の半次であった。実は水口藩では藩主の跡継ぎをめぐり、お家騒動が起きていた。兵庫はこの機に乗じ藩政を牛耳る気でいたが、その後も半次の活躍によってお家は守られる。お美代とともに、その正体が明らかとなる中、兵庫との最後の対決へ向かう半次-。そして、だれよりも江戸っ子らしい晴れ姿を披露する!!時代娯楽の傑作、熟練・江崎俊平の技が冴える超痛快!時代小説。