第18回司馬遼太郎賞受賞! 新時代の躍動とともに、ノボさんこと正岡子規は二十歳を迎えた。べーすぼーるに夢中の青年は、俳句・短歌・小説・随筆、あらゆる表現に魅入られ、やがて日本の文芸に多大な影響を及ぼす存在となる。この年、東大予備門で金之助こと夏目漱石と運命的な出会いを果たす。二人は人生を語り、夢を語り、恋を語った。明治三十五年、子規の余命が尽きるまで交際は続く。著者畢生の青春小説、誕生!
第18回司馬遼太郎賞受賞!
静かに、熱く、必死に生きる。子規と漱石。この出逢いがなければ、「私たちの小説」は生まれなかった。
「ノボさん、ノボさん」「なんぞなもし」
明治二十年。新時代の躍動とともに、ノボさんこと正岡子規は二十歳を迎えた。
アメリカ渡来のべーすぼーるに夢中の青年は、俳句・短歌・小説・随筆、あらゆる表現に魅入られ、やがて日本の文芸に多大な影響を及ぼす存在となる。
子規は常に人々に囲まれていた。友人、師、家族から愛され、子規もまた彼らを慕った。
そしてこの年、東京大学予備門で運命的な出会いを果たす。同じく日本の文学の礎となる、金之助こと夏目漱石である。
志をともにする子規と漱石は、人生を語り、夢を語り、恋を語った。明治三十五年、子規の余命が尽きるまで、誰もが憧れた二人の交際は続く。
子規と漱石の友情を軸に、夢の中を走り続けた人、ノボさんの人生を描く。
小説家・伊集院静がデビュー前から温めていたのは、憧れの人、正岡子規の青春。
野球と文芸に魅入られた若者の姿は、伊集院静の青春そのものだった。
三十年にわたる作家生活の中で、ずっと憧れ、書きたかった。書かなければ、先には進めなかった。