モース主任警部にとって、他人が担当していた事件を途中から引き継ぐのは、あまり面白いことではなかった。その上、怨恨による殺人ときては、さして難しい事件とも思えなかった…。ところが、オックスフォード大学のもと研究員マクルーア博士が刺殺された事件は、モースが乗り出した途端、意想外の展開を見せ始めた。容疑者と目されていた博物館の係員ブルックスが行方不明となり、数週間後、刺殺体となって発見されたのだ。凶器は博物館から盗まれたアフリカのナイフだった。はたして奇妙な凶器の意味するものは何か。そして、第一の殺人との関連は。やがてブルックスに恨みを持つ三人の女が捜査線上に浮かび上がるが、彼女たちにはさすがのモースも頭を抱える鉄壁のアリバイがあった。アクロバティックな推理と華麗な謎解きで読者を魅了しつづける現代本格シリーズの最高峰、待望の最新作。