休暇でしばし仕事を忘れていたモース主任警部は、紙の見出しに思わず目を奪われた。記事によると、迷宮入りした一年前の失踪事件を解く鍵となりそうな詩が匿名で警察に送られてきたというのだ。モースは去年の夏に起きたその事件を憶えていた。休暇でイギリスを旅行していたスウェーデン娘が、ヒッチハイクでオックスフォードまできたあと、ぷっつりと消息を絶ったのである。詩が暗示するように、娘は森の中にいるのか?だとすると、すでに死体となって森の奥深くに埋められているということなのか?一篇の詩から万華鏡のごとく華麗な推理がつぎつぎ展開される、英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー受賞作。