貧窮に生まれ中学進学も望めぬ苦境の中で猛勉強。独学にて海軍兵学校へ進み、独自の慧眼と毒舌をもって一時代を風靡し、海大卒業時には恩賜の長剣に輝き、日米戦争の末期に至るや、身命を賭して東條暗殺を企て、帝国陸軍の本土決戦には徹底的に抗して、敗戦時、日本最悪の事態を回避した帝国海軍の鬼才の生涯を、高木家資料の大部を提供されて遂に脱稿。「物豊かにして心を失う。国の経済は復興し、国民生産は幾層倍したが、民族としての歴史も伝統も言語も信仰も、弊履の如く見捨てられた」と嘆き、「人生はリハーサル抜き、ぶっつけ本番の悲喜劇」と言い放つ偉大なる反骨の人の生涯を、同郷の一学徒が活写した稀有、感動の正伝。