戦うために生きるのではない。生きるために戦うのだ。
奸臣・費無極(ひむきょく)が、父と兄を処刑する前夜、伍子胥(ごししょ)は、楚の都に潜入する。希望はあるのか。
楚は内憂外患に激動する。待望の第二巻!
楚の人、伍子胥は、呉との国境近くの邑・棠を治める兄・伍尚(ごしょう)を助け、配下に逸材を得る。ある日、呉の大船団二万五千が江水をさかのぼり、楚はこれを迎え撃つ。いったんは勝利を収めたが逆襲を受けて楚は敗北した。翌年、楚王は、太子建の妃として迎えるはずだった秦の公女を王妃とする。太子は楚都から遠ざけられ、伍子胥の父・伍奢(ごしゃ)は太子に仕えていたため王宮に召還され拘留される。すべて佞臣・費無極の奸計によるものであった。
「なんじしか仇討ちをする者はいないではないか。われが死んでも、伍氏の家名をなんじが保てばよい。なんじの才知は、われにまさる。なんじによって伍氏の家名は天下に知られることになろう」と伍尚は微笑をまじえていった。子胥は落涙した。