• Author渡辺克彦
  • Publisherポプラ社
  • ISBN9784591155554
  • Publish Date2017年10月

学びに「成功する子供」教えに「失敗する大人」

現在世界では、物凄いスピードで教育革命が進行中。例えばアメリカでは、全国の小中学校(公立校)に1000万台の無線タブレット端末が配られ、教師はリアルタイムで送られてくる学習経過を見ながら「生徒一人一人に適した課題」を与えている。授業中に子どもたち個々の理解度が把握できるので、一人一人に個別指導をして生徒の「資質を引き出す」ことが可能な新しい教育アプローチが広がっている。中学高校では、実際の社会を俯瞰して、「どこに課題があるか?」を生徒自身が考えて問題解決を模索する「PBL、プロジェクト・ベース・ラーニング(最近ではディーパー・ラーニングとも呼ばれている)」という新しい教育メソッドが台頭している。ビル・ゲイツ財団もこのメソッドをとるチャータースクールに基金を寄贈している。大学では、MITやハーバード大学を筆頭に、インターネットを使った無料講座(MOOCS)を世界に提供している。その狙いの一つには、世界中からアクセスする優秀な学生のリクルーティングがある。講義を受ける学生たちのビックデータを解析して、優秀な人材を大学や企業に取り込むこのシステムは、もはや国家戦略といってもいい。対して日本の教育は、語るまでもないだろう。現在文科省は、ようやく受験偏重の弊害に気づき、到達度テストの導入や日本語でのバカロレア制度の確立を急いでいるが、世界的な潮流を見れば、日本の教育カリキュラムは旧態依然。「子どもたちを型にはめる教育」「一つの正解を教える教育」「記憶させる教育」が中心となっている。著者は、ニューヨーク野村証券等での国際金融マンとしてグローバルビジネスを経験する中で、アメリカ企業側から(日本人だが外国人として野村證券で働く)、日本人ビジネスマンおよび日本企業の弱点や脆弱さと向き合ってきた。これでは世界に伍していけない。そう痛感していた時、教育ビジネスと出会い、株式会社の通信制インターナショナル高校「東京インターハイスクール」を経営するに至る。この高校は、日本の文科省の管轄外。アメリカ、ワシントン州の教育委員会の管轄下にある。だから、「課題設定能力を鍛える」「コーチング制度」「自らカリキュラムを決める」ことが可能になり、現在ではバレエ界、スポーツ界、音楽界等で中学生年代から世界に進出し、もはや日本の教育の枠外にいる「天才児」たちも集まるインターネットスクールになっている。

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