文芸雑誌として創刊された「文芸春秋」が、いまみるような総合雑誌へと拡大していったのは、大正15年11月号からである。この年の12月末から昭和と改元されたから、総合雑誌としての「文芸春秋」は正しく昭和の歩みとともにあったことになる。本書は創刊いらいの数多い寄稿のなかから"当事者の語る昭和史"にふさわしい作品をえらんで年代別に再編集した、文芸春秋にして初めて可能な昭和史の証言集である。