白内障にかかった自分の目玉をプラスティックの人工水晶体にとりかえる大手術。その模様を、焦燥とも悲愴感とも無縁な、子供のような好奇心でクールに眺める作家の視線-。読者の意表をつき、ユーモアさえ感じさせる表題作のほか、鋭利な感性で研磨された過去の記憶が醸しだす、芳醇な吉行文学の世界。7編収録。