定時制高校の教壇に立って二十数年、子供たちの変化に脇浜義明は戸惑っていた。「成績は悪いが、ケンカは強い」が、いつ「成績も悪く、ケンカも弱い」になってしまったのか。脇浜は子供たちにひとつでも「勝つ」ことを知ってもらおうとボクシング部を創設する。それは彼自身の敗者復活戦でもあった。大宅壮一ノンフィクション賞受賞。