「そなたは医者でありながら、天然理心流の練達者。味方になってくれぬか」。菊島龍安に、頼む者がいた。龍安が敬愛する町医師松井玄沢が何者かに殺され、その事件を調べていた時のことだった。長年、将軍を診る奥医師に推挙されていた玄沢が、ついに応じた直後の死。哀しみをこらえ、下手人を追う龍安に凶刃が迫る。龍安は奥医師推挙をめぐる謀を斬ることができるか。著者渾身の時代活劇!