【小学中級以上対象】むかしむかし、大阪の米問屋さんにおじょうさまが生まれました。あまやかされて育ったイトはんは力もちで、とにかくワガママ。「だれも飼っていないペットがほしい」と言いだし、頭をかかえただんなさまは、丁稚の定吉にペットさがしを丸投げです。こまった定吉が池のほとりで出会ったのは、一ぴきのおたまじゃくしでした。講談社児童文学新人賞出身作家がおくる、落語風の創作童話をお楽しみください!
【小学中級以上対象】むかしむかし、大阪の米問屋さんに、かわいいおじょうさまがお生まれになりました。だんなさまは、あまりにいとしいわが子を、「イトはん、イトはん」と呼んであまやかしほうだい。イトはんがのぞめば、好きなものを好きなときに食べたり飲んだりさせているうち、スクスクと、いやムクムクと大きくなられて、ちょっと、いや、かなり力もちのおじょうさまに成長されたのでした。
このイトはん、「だれも飼っていないペットがほしい」と言いだしました。だんなさまは、頭をかかえることしきり。言いだしたら聞かず、願いがかなわなければ、だれかれかまわず、すもうを取って、張り手であいてを遠くまで飛ばしてしまうイトはんだから、なんとしてでもめずらしいペットを見つけなければ命にかかわります……。
そこでだんなさんが“ペットさがし”を押しつけたのが、問屋で丁稚としてはたらいている小僧の定吉。いなか育ちで動物になれているというだけで白羽の矢が立った定吉は、途方にくれて池のほとりまで歩いてきましたが、そこで出会ったのは、一ぴきのおたまじゃくしだったのです――。
講談社児童文学新人賞出身作家がおくる、落語風の創作童話をお楽しみください!