本書は、最近バンコマイシン耐性のMRSA(VRSA)、腸球菌(VRE)などの出現で、再び注目されるようになった院内感染の現状について解説しています。院内感染は抗生物質の使用に伴う耐性菌の増加によりもたらされております。この耐性菌の問題は現代医療が抱えているもっとも厄介な世界共通の課題であり、とくにVRSA、VREはほとんど抗生物質が効かない多剤耐性病原菌として、今世界各国で対応方法が精力的に研究されています。現在の行き詰まった状況をどのようにしたら打開できるのか、私自身、この十年来考えてきたことをここで述べました。