父の仇を江戸の町に追う由比三四郎は、ある日、女郎屋に売られる娘おさとを助けた。しかし人買いの恨みを買い、首に五十両の賞金をかけられてしまう。次々と挑んでくる刺客、朋友の僧・快延、鳥舟で空を飛ぼうとする若者、妙に人なつっこい人買い-多彩な人間模様の中から、やがて仇討ち相手が見え隠れし始める。第12回中山義秀文学賞受賞作。