大阿闍梨恵果は異国の僧空海に、密教本流のすべてを託し灌頂を授ける。密教第八世の法燈を継承した空海は、密教界の最高位に即く。恵果は「東国へ伝えよ」の遺言を残し遷化する。空海の知識への渇望は吐蕃使節との交流にまで及ぶが、大同元年(806)、日本での密教流布に胸熱くして帰国。日本仏教界の巨人の求法の道を描く長編歴史小説。