警察組織の頂点に立つ内閣官房副長官が、何者かに狙撃された。一方ニューヨークでは、北朝鮮の高級外交官が日本総領事館に亡命したいと訴える。保護を命じられたのは、元警視庁公安部外事二課(ソトニ)の伝説の刑事・筒見慶太郎だった。しかし、筒見が用意した「セーフハウス」で、北の外交官は無惨な死体となって見つかった。「日本にいる『亡霊(マンリョン)』を守ってくれ」という言葉を残して――。
公安警察を取材しつづけてきた著者が放つ渾身作。
東京で、元警察庁長官が狙撃される。一方、ニューヨークでは、北朝鮮の外交官が、日本総領事館に亡命を求めやってきた。
公安組織と対立し、在外公館の警護官として飛ばされていた一匹狼・筒見慶太郎が保護したその外交官は、絶対に場所が漏れないはずの「セーフハウス」で暗殺される。
「日本にいる『亡霊(マンリョン)』を守ってくれ」と言い残して……。
事件の背後に垣間見える、終戦時、日本に見捨てられ、彼の地に取り残された母子の、壮絶な運命。
戦後日本の官僚組織に打ち捨てられた人々の苦悩。それを踏み台に、北朝鮮の「体制崩壊後」を睨み、利権を狙う政財官。
北朝鮮に潜入した情報調査官が帯びた「密命」とは何だったのか。
果たして、日本の中枢にいる「亡霊」の正体とは。
そして、その秘めた狙いは――。