「人間の痛みへの共感」としての人道主義。純粋な心情に基づくものとして賞賛されがちだが、それは対象社会に「病理」を見出し、その「処方箋」を描く過程で、相手との非対称な関係を築いてしまう。一九世紀の植民地統治から冷戦後の人道的介入・平和構築活動まで、介入・統治を「する側」「される側」の非対称な関係の生成に、人道主義が不可分に関わってきたことを示す。国際政治学への斬新な問題提起。