第二次大戦の敗北で根こぎとなったフランス、ヴェイユはそこに歴史の失敗と世界の変革の可能性を見た。不幸のどん底にある今こそ、国をかたどる真の霊感を鍛えるとき。一切の力の崇拝を拒み、美と正義と真理が一致する唯一無二の善を選ばねばならない。まったき従順のうちに世界は燦然と輝く-"弱さの聖性"という逆説に立脚する世界の構想。