日本経団連の調査によると、日本企業の人事担当者が新卒採用にあたってもっとも重視している能力は、「語学力」ではなく、「コミュニケーション能力」です。ところが、その「コミュニケーション能力」とは何を指すのか、満足に答えられる人はきわめて稀であるというのが、実態ではないでしょうか。わかりあう、察しあう社会が中途半端に崩れていきつつある今、「コミュニケーション能力」とは何なのか、その答えを探し求めます。
―大反響! 絶賛の嵐!―
【阿川佐和子氏】
目からウロコ!「コミュニケーション」という言葉の周辺で
モヤモヤイライラしていたものが、一気に吹き飛ばされ、すっきりした気持になりました。
【谷川俊太郎氏】
これは掛値なしに「おもしろくてためになる」本です。私も初心に戻って日本語を考え直しました。
【鷲田清一氏】
他人と同じ気持ちになるのではなく、話せば話すほど他者との差異がより微細にわかるようになること
それがコミュニケーションだ。
【茂木健一郎氏】
他者との対話を通して、いのちが広がる。生きている実感がこみ上げる。厳しくも温かい、人間賛歌!
―いま、本当に必要なこと―
企業の英語公用語化が話題になっているため、誤解されている方が多いかもしれませんが、経団連の調査によりますと、企業が新卒採用にあたって最も重視している能力は、9年連続で「コミュニケーション能力」(80%超)がトップです。「語学力」はここ数年、6%程度に過ぎません。
たしかに中高年の多くの管理職の人たちは、「近頃の若者はコミュニケーション能力がない」と嘆いています。
しかし、近頃の若者に「コミュニケーション能力がない」というのは、本当なのでしょうか。
そもそも、現在、企業が要求するコミュニケーション能力とは、「グローバル・コミュニケーション・スキル」=「異文化理解能力」です。つまり、グローバルな経済環境の中においても価値観や文化が異なる人の意見を理解した上で、自らの考えを主張して説得したり、妥協点を見いだしたりすることができることです。
ところが、実は日本の企業は、自分たちも気がつかないうちに、別のコミュニケーション能力を求めています。それは、「上司の意図を察して機敏に行動する」「会議の空気を読んで反対意見はいわない」といった従来型のコミュニケーション能力です。
いま、就活をしている学生たちは、あきらかに二つの矛盾したコミュニケーション能力を同時に要求されています。しかも、何より始末に悪いのは、要求している側が、その矛盾に気がついていない点です。
なぜ、こうした事態が起こるのか――。