土門拳の眼がとらえた寺院建築・仏像・庭園を凝縮した迫力ある写文集。
──ぼくは被写体に対峙し、ぼくの視点から相手を睨みつけ、そしてときには語りかけながら被写体がぼくを睨みつけてくる視点をさぐる。そして火花が散るというか、二つの視点がぶつかったときがシャッターチャンスである。バシャリとシャッターを切り、その視点をたぐり寄せながら前へ舞えへとシャッターを切って迫っていくわけである。(「車椅子からの視点」本文190ページ) 戦前から車椅子生活になっても続けた古寺巡礼。シリーズ4冊目は、全国を撮り歩いた中から藤原三代の栄華・中尊寺、敬愛した夢窓国師ゆかりの永保寺、日本第一の建築と称賛した三仏寺など傑作を名エッセイとともに収録。 巻末で、写真家西川孟氏が、“人生の師”と助手時代を回想。