旅を愛し、特異な眼差しで世界を凝視しつづけたチャトウィン。研ぎ澄まされた言葉で記される旅の記憶は、彼が見出した"奇跡的な何か"を感じさせてやまない。偶然が引き起こす様々な出逢い-人間であり、場所であり、時に歴史的な事件でもあった-が彼にとって旅のすべてであり、本書はまさに彼の旅そのものとも言える。類まれなる紀行作家だった夭逝の天才が、旅の果てにくずおれる前に遺した、最初で最後の自選作品集。