長年の癖は、そう簡単に消えるものではない。つい最近も、千歳に降りたわたしは、気がつくと公衆電話の前に立っていた。そこで受話器を持ちかけて、自分にいいきかせた。もう電話をしなくてもいいんだ-。母の死、秋の風景、京都、そして花…今いちばん注目される作家の心の覚え書き、素顔のエッセイ。