儒教には、四角四面の礼教性の強い倫理道徳であり、しかも古い家族制度を支える封建的思想という暗いイメージが色濃くつきまとっている。しかし、儒教の本質は死と結びついた宗教であり、それは日本人の生活の中に深く根を下ろしている。第二次大戦後進められた個人主義化により、さまざまな歪みと弊害とを露呈させている今日、を問題とする儒教の根本を問い直し、その歴史をたどりながら、現代との関わりを考える。