アダチ竜広、広沢虎造、大辻伺郎、石田一松、シミキン、可楽、馬風…比類なき芸ゆえにいかなる奇矯も許された古き良き時代。すでに鬼籍に入って見ることも聞くこともかなわぬ芸をいとおしみ、愛すべき素顔を懐しむ、優しい目と巧緻な筆で描いた「しがない」芸術家への鎮魂歌は、同時にもうひとつの昭和史だ。