熊野の山々は豊かな天然林と清冽な渓流を擁し、古来より伐採、炭焼きなどで暮らす人々やさまざまな動植物を育んできた。けれども戦時下の乱伐や戦後の針葉樹一辺倒の植林、その後の猛烈な過疎化により、自然は痛めつけられ、人々のいとなみの記憶は忘れ去られようとしている。代々この地に暮らしてきた著者が森とそこに生きる人々を語る。