中世南フランスに生まれた熱烈で忠実な献身の新しいアムール(愛)。この愛に関わる物語のさまざまな形象。これと対称的な粗野で生々しく甘美でもあるトリスタンとイズーの性愛の物語の元型をめぐる論考。文学と歴史とが溶け合い、ここに中世的世界が息づく。西欧の近代文学の原点をなす愛の世界を、著者ならではの流麗な筆で描く。