南米に棲む動物にナマケモノというのがいる。この動物こそ私の理想であると小平博士はいう。博士はいうまでもなくフィールズ賞に輝く数学界の泰斗である。本書は戦後初に招聘されたプリンストン高級研究所からのたよりなどの随想をはじめ,科学・技術の問題,数学とその周辺のこと,日本の教育など,折にふれて書かれたエッセイ集である。"怠け数学者"の含蓄に富んだこの記録は読者に多くの示峻を与えるであろう。