一個の弾丸も放たず、一滴の血も流さずに封建制度を撤廃した「廃藩置県」のわずか半年後、明治新政府の多数の指導者が世界視察の旅に発った。世界史に例のないこの岩倉使節団の壮挙こそ「明治という国家」創成の秘密を解くカギであり、日本近代化の原点である。歴史講談のごとき著者の語り口によって甦った歴史の真実。それは、国家の命運をにない、高い志を持ち、深い教養と鋭い観察眼をそなえ、しかも礼節を失わなかった「堂々たる日本人」の颯爽とした姿である。