主人公ダニエルは脳に複数の転移をともなう肺ガンで死ぬ。肉体を離れた彼の魂は、死後の世界でも生前の「科学的好奇心」を持ち続け、さまざまな探検を試みる。肉体という制約を失った彼の魂は、行きたいところにはどこでも行くことができる。まず手始めに彼は、生前の世界に戻り、歴史の謎を究明すべく遺跡を訪れたり、息子や娘たちの生活をのぞき見したりするが、やがて、そうした"現世"的なものに自分の関心が弱まっていくことに気づく。ダニエルの好奇心は、これから先自分が「生きて行く」死後の世界に向けられていく。死後の世界には「地獄」「煉獄」「天国」があるが、この三者は別々の「場所」に分けられて存在しているわけではなく、それぞれの魂の「精神状態」を示しているのであり、この煉獄や地獄は"おちいる"ものではなく、それぞれの魂の「自由意志」が選んだ状態である。したがってそこから抜け出すには、自ら進んで「抜け出そう」という意志を持たねばならないのである。ある日、サタンがダニエルの前に現れる。サタンはダニエルを美しい丘の上に誘い、生前ダニエルが抱いていた理想的な女性の裸姿で性的に誘惑しようとする…。