少子高齢化、不況と失業、逼迫する財政。私たちの不安をかき立てる社会状況への対処法として近年もてはやされるのは、自己決定と自己責任、能力主義と自由競争であり、社会全体の調整・介入は批判されがちである。本書は、リバタリアニズム(自由至上主義)やリベラリズムのこうした磁場に対抗して、自ら障害者の介護や医療問題にも積極的に関わる気鋭の社会学者が、必要なものを必要な人に届けるための社会的分配の正当性を、さまざまな角度から徹底して考察したものである。