「色彩とは何か」と問うとき、科学的世界像の自明性はとたんに揺らぎ始める。色彩現象とは、感覚か、物理的性質か、内面的な現実か。いずれの立場に立つにしろ、それぞれの考え方が隠している存在論的前提が露とならざるをえないからである。主観と客観の、精神と物質の二元論を超えて、生きられた多次元的な世界を記述するために、「生態学的現象学」の意義と可能性の解明を目指す。