第二次世界大戦後の約半世紀にわたって、全世界を巻き込んで進行した「冷戦」。この世界規模の現代史の解釈は、その時々の政治情勢と関係しつつ時代とともに変化してきた。本書は、冷戦史をその起源を含め広範な地域にわたって概観し、あわせて解釈の変容を跡づける。核戦略を軸とした大国間関係が強調されがちな従来の見方に対して、ヨーロッパ諸国や中国など米ソ以外のアクターの影響を適切に考慮するとともに、ソ連崩壊後の最新研究を踏まえ、単純な原因論をさけて冷戦の多様性を浮かび上がらせる。バランスよく記述された入門書。