自然主義小説家・田山花袋はまたジャーナリストで無類の旅行好き。手甲脚絆、日に十数里もゆく昔の旅と全国の温泉を美辞麗句抜きで素朴に記す。風景・湯量・宿・人情をなつかしく綴る紀行文は今日温泉を巡る者にもよき伴侶となるだろう。