瘋狂聖の愛称を冠されるドゥクパ・クンレー(1455‐1529)は、ブータン人に語り継がれ、賛仰されてきた遊行僧。本来の仏教から堕落し形骸化した教団を痛烈に批判し、奔放な振る舞いとユーモアで民衆に仏教の真理を伝えた。型破りの遍歴、奇行、聖と俗にわたる逸話集は、ブータン仏教を知るための古典作品である。