シェイクスピア(1564‐1616)の喜劇精神がもっとも円熟した1590年代の初めに書かれ、古来もっとも多く脚光を浴びて来た作品のひとつ。ヴェニスの町を背景に、人肉裁判・はこ選び・指輪の挿話などをたて糸とし、恋愛と友情、人情と金銭の価値の対照をよこ糸としているが、全篇を巨人のごとく一貫するユダヤ人シャイロックの性格像はあまりにも有名である。