1881年にドストエフスキーが没してから百年が経過した。この間、彼の作品は様々な事件や現象を驚くべき正確さで先取りしてきた。その予言性はいかにして可能になったのか。著者は彼の作品が持つ重層性、多義性を読み解き、十九世紀末のロシアの土壌から二十世紀の世界的現実を見通した、ドストエフスキー文学の新しさを解き明かす。